フィードバックで改めて知るコーチの影響力

先日、私が30代の頃にコーチとして関わった選手が、ご家族と一緒に久しぶりに会いに来てくれました。
彼は現在30代。公務員として安定した生活を送っていましたが、「このままの人生でいいのだろうか」と悩み、新たな挑戦を決意したそうです。

長年勤めた職場を離れることは、並大抵の覚悟ではできません。周囲からの反対も多くあったといいます。
それでも彼は、「自分の人生に後悔したくない」と強い意志を持ち、猛勉強の末に社会保険労務士(社労士)の資格を取得。そして、公務員を辞め、自らの事業を立ち上げました。

久しぶりに再会した彼の表情は、とても晴れやかで清々しいものでした。
迷いながらも、自分の足で人生を切り開こうとする姿に、私は心から尊敬の念を抱きました。

印象的だったのは、彼の口から出た一言です。
「自分の人生や行動は、何のためにやるのか?」――
この問いを持つようになったきっかけは、当時の私の影響だったと言ってくれたのです。

彼とはわずか2年間しか関わっていません。しかしその期間、私は選手たちに「考えることの大切さ」を伝え続けていたことを改めて彼の言葉で認識しました。
うまくいかないときこそ、ただ努力するだけでなく、“なぜその行動をするのか”“どうすればより良くなるのか”を自分の頭で考え続けること。
その習慣が、彼の人生の指針の一つになっていたことを知り、胸が熱くなりました。

彼の言葉を通して、私は嬉しさと同時に身の引き締まる思いがしました。
指導者という立場は、技術を教えるだけでなく、選手の生き方や考え方にも影響を届ける存在です。
だからこそ、日々の言葉、態度、そして自らの姿勢一つひとつが重要なのだと改めて感じました。

コーチとして関わる時間が短くても、その時間が誰かの人生のきっかけになることがある。
そう思うと、指導者という仕事の責任とやりがいを、改めて深く実感します。

彼のように、自分の人生を主体的に選び、挑戦し続ける姿を見ることは、私自身にとっても大きな励みです。
これからも、関わる人の人生に少しでも良い影響を届けられる存在でありたい――そう心から思いました。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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