アンラーンの効果:固定観念を超えて新しい可能性を広げる

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アンラーンの効果:固定観念を超えて新しい可能性を広げる

私たちは日々、過去の経験や成功体験から学び、判断を積み重ねています。しかし同時に、その「学び」が新しい発想を妨げていることもあります。これを壊すのが「アンラーン(unlearn)」という考え方です。つまり、これまでの思い込みや固定観念を一度手放し、ゼロベースで物事を捉え直すことです。

思い込みや固定観念が事実(ファクト)と異なる場合、判断を誤ることがあります。例えば「この方法が一番効率的だ」と信じていても、時代や環境の変化によってその前提がすでに崩れていることもある。特に現代社会では、情報の鮮度が非常に重要です。昨日まで正しかったことが、今日にはもう古くなっていることも少なくありません。だからこそ「自分の知っていることが常に正しいとは限らない」という前提に立ち、意識的にアンラーンを行うことが大切なのです。

ここで紹介したいのが、世界的ベストセラー『ファクトフルネス(Factfulness)』(ハンス・ロスリング著)です。この本では、人間がどれほど「思い込み」や「ネガティブな先入観」に支配されているかを、豊富なデータで明らかにしています。私たちは「世界はどんどん悪くなっている」と感じがちですが、実際のデータは真逆を示しています。貧困率は下がり、教育や医療は格段に向上している。ロスリング氏は、感情ではなく「事実(ファクト)」で世界を捉えることの重要性を説き、それがまさに“アンラーン”の実践であると示しています。

アンラーンには二つの効果があります。
一つは「自分の判断を疑う力」を養うこと。これは自己否定ではなく、自分を俯瞰的に見つめ直す力です。人は知らず知らずのうちに、自分に都合の良い情報だけを集めがちです。アンラーンはその偏りを取り除き、より客観的な視点を取り戻すプロセスでもあります。
もう一つは「新しい可能性を見出す力」です。固定観念を外すことで、見えていなかった道が開けます。これまで「できない」と思っていたことも、視点を変えるだけで「できるかもしれない」に変わる。その瞬間に、人は成長を実感します。

立正大学データサイエンス学部の学生たちは、まさにこのアンラーンの実践者であるべきだと思います。データサイエンスとは、感覚や思い込みではなく「事実をデータから読み取る力」を育てる学問です。つまり、アンラーンの第一歩は「思い込みを捨ててデータを見ること」。スポーツの世界も全く同じです。感覚だけに頼らず、試合のデータや選手のパフォーマンスを冷静に分析し、改善点を導き出す。そこに本当の成長があります。

アンラーンは、新しい知識を得る前提条件です。学び直し(リラーニング)の前に、一度「手放す」ことが必要なのです。長年の経験や自信は大切ですが、それに縛られてしまえば成長は止まります。自分の中にある古い考え方をあえて手放し、新しい情報・考え方・人との出会いに心を開く。これこそが、時代の変化に適応し続けるための最大の力だと感じています。


SPORTS BAR FEEL FREE オーナー
宮﨑 善幸

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