「何をやるのか」を問い直す瞬間

自己認識力(セルフアウェアネス)の研究者として世界的に知られるタシャ・ユーリック(Tasha Eurich)は、著書『INSIGHT(インサイト)』の中で、とても示唆的な問いを提示しています。
それは、「なぜ(Why)」ではなく、「何を(What)」自分に問いなさい、ということです。

私たちは何かうまくいかなかったとき、つい「なぜ自分はできなかったのか」「なぜ失敗したのか」と考えがちです。一見、内省しているように見えますが、ユーリックはこの「なぜ」の問いに注意を促します。
なぜなら、「なぜ」という問いは、過去の出来事や感情を掘り下げる一方で、自己正当化や言い訳、思考の堂々巡りを生みやすいからです。「あの時○○だったから仕方がない」「自分はもともと△△な性格だから」といった具合に、原因探しがゴールになってしまい、行動の変化につながらないケースが多いのです。

一方で、「何を(What)」という問いは、視点を未来へと向けます。
「今の状況の前に、私は何をすべきか」
「次に取るべき行動は何か」
「自分が本当に大切にしたいことは何か」

この問いは、感情や過去を否定するものではありません。ただ、そこに留まり続けるのではなく、次の一歩を具体化する力を持っています。インサイトでは、自己認識力が高い人ほど「自分はなぜこう感じたのか」ではなく、「この感情を踏まえて、私は何を選択するのか」という問いを自然に使っていると述べられています。

もちろん、「なぜやりたいのか」という問いが不要なわけではありません。動機や価値観を確認することは大切です。ただ、それだけでは行動は変わりません。
「何をやるのか?」という問いを持った瞬間、私たちは初めて行動レベルで自分と向き合うことになります。やることを決めるということは、同時に「やらないこと」を決めることでもあり、覚悟が問われます。

迷ったとき、立ち止まったとき、心が揺れたときこそ、自分に投げかけたい問いがあります。
「なぜそうなったのか?」ではなく、
「ここから、私は何をやるのか?」

この問いを持ち続けることが、未来をつくる自己認識につながっていくのだと、インサイトは教えてくれています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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