5-12-2 日常の声かけ・振り返り

〜うまくいかない時にこそ、本質が表れます〜

スポーツの世界では、「うまくいくこと」よりも、「うまくいかないこと」の方が圧倒的に多いものです。
ミスをすることもあります。努力しても結果が出ないこともあります。試合の流れが悪くなることや、想定外の出来事が起こることもあります。

しかし、本当に強い選手やチームは、そうした“うまくいかない状況”の中でこそ、本来の力を発揮します。

その違いは何なのでしょうか。

もちろん技術や体力も大切です。しかし、それ以上に大切なのは、日常の中でどのような言葉を使い、どのように人と関わり、どのように振り返りを積み重ねているかだと思います。そして、その土台をつくる大切な関わりの一つが「メンタリング」です。

メンタリングとは、単に答えを教えることではありません。相手の話に耳を傾け、その人自身が考え、気づき、前に進めるよう支援する関わりです。

スポーツの現場では、指導者が答えを与え過ぎてしまう場面があります。しかし、本当に成長する選手は、「教えられた選手」ではなく、「自分で考え続けた選手」です。

だからこそ、日常の声かけが重要になります。

「なんでできないんだ」ではなく、
「今、何を感じている?」
「次にどうしたら良くなると思う?」
そうした問いかけによって、選手は自分自身と向き合うようになります。

うまくいかない時に感情的に否定され続けると、人は失敗を恐れるようになります。挑戦よりも、“怒られない選択”をするようになってしまいます。

しかし、メンタリングの視点を持った関わりは、失敗を責めるのではなく、「失敗から何を学ぶか」に意識を向けます。

失敗をしても、「次にどうするか」を考えられる選手は成長します。逆に、失敗を恐れて行動できなくなると、成長は止まってしまいます。

強いチームほど、うまくいかない時に互いを責めません。

もちろん厳しさは必要です。しかし、その厳しさは人格否定ではなく、「成長してほしい」という思いの上に成り立っています。

だからこそ、日常の関わり方が大切になります。

例えば、飲食店で忙しく働く店員の方に対して横柄な態度を取る人を見ると、そこには相手への敬意が感じられません。逆に、どんな状況でも自然に「ありがとうございます」と言える人には、人としての温かさを感じます。

スポーツの現場でも同じです。

レギュラー選手がメンバー外の選手に横柄な態度を取っているチームは、どこか脆さを感じます。試合に出る選手だけでチームは成り立ちません。サポートする仲間、準備をするスタッフ、声を出し続ける選手がいるからこそ、チームは前に進むことができます。

本当に強いチームほど、立場に関係なく互いを尊重しています。

尊敬とは、肩書きや結果だけに対して生まれるものではありません。日常の態度や行動、相手への配慮の積み重ねによって育まれていくものです。

そして、その「日常」は苦しい場面で必ず表れます。

試合中にミスをした時、下を向いてしまうのか。
仲間に声をかけられるのか。
切り替えて次のプレーに向かえるのか。

そこには、その人が普段どのように自分自身と向き合っているかが表れています。

メンタリングの視点で大切なのは、「できた・できない」だけを見るのではなく、その背景にある感情や思考にも目を向けることです。

なぜ迷ったのか。
なぜ声が出せなかったのか。
何に不安を感じていたのか。

そこに寄り添いながら対話を重ねることで、選手は少しずつ自分を理解し、自分の力で前に進めるようになります。

また、本当に準備ができているチームほど、「最悪の状況」を想定しています。

流れが悪くなったらどうするのか。
失点した直後に何を話すのか。
苦しい時間帯に誰が声を出すのか。

最悪を想定できているチームは、想定外に慌てません。

準備とは、成功だけを信じることではありません。失敗や困難を受け止め、それでも前に進む覚悟を持つことでもあります。

結局、試合で最後に出るのは“普段の自分”です。

オフザピッチでどんな言葉を使い、どんな姿勢で生活しているか。その積み重ねが、勝負の場面で自然と表れます。

だからこそ、日常の声かけや振り返りが重要なのです。

何気ない挨拶。
感謝の一言。
仲間を思いやる態度。
失敗した仲間への声かけ。

そうした小さな積み重ねが、信頼を生み、人を育て、強いチームをつくっていきます。

うまくいかない時にこそ、その人やチームの本質は表れます。
だからこそ、日常を大切にし、互いを尊重し、対話を重ねながら成長を支え合うこと。その積み重ねこそが、人としての成長と、本当に強いチームづくりにつながっていくのだと思います。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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