3-5-1 失敗を過度に恐れる理由

「やってみたい」と思えることは、それだけで幸せなことです。しかし、多くの人は年齢を重ねるにつれて、その気持ちを素直に表現できなくなっていきます。

幼い子どもたちは、「これをやりたい」「これはやりたくない」と、自分の気持ちを率直に言葉にします。大人から見れば、わがままに映ることもあるかもしれません。しかし、それは自分の感情を理解し、表現できている証でもあります。

成長する中で、人は我慢することや、周囲に合わせることを学びます。時・場所・場合を考えて行動する力は、社会生活に欠かせません。一方で、「失敗したらどうしよう」「周囲から反対されるかもしれない」「恥ずかしい思いをしたくない」と考え、自分のやりたいことまで抑えるようになります。

挑戦できない理由は、能力や意欲が足りないからとは限りません。失敗によって自分の価値まで否定されるように感じてしまうことが、大きな原因ではないでしょうか。

本来、失敗は一つの行動の結果にすぎません。しかし、失敗を「自分には才能がない」「自分は駄目な人間だ」という自己評価と結びつけてしまうと、挑戦すること自体が怖くなります。さらに、年齢や立場が上がるほど、家族や組織に対する責任も増えます。失うものを意識するようになり、行動を起こす前に諦めてしまうのです。

スポーツを通して身につく大切な力の一つは、感情や行動を自分でコントロールする力です。試合では、感情を抑えて我慢しなければならない場面もあれば、自分の持ち味を思いきり表現しなければならない場面もあります。「抑えること」と「出すこと」のバランスを取り、状況に応じて選択する力が求められます。

これは人生の挑戦にも通じます。挑戦とは、何も考えずに飛び出すことではありません。我慢する力と、自分を表現する勇気の両方を持ち、責任を果たしながら一歩を踏み出すことです。

若い時期は、失敗してもやり直せる時間が多く、身軽に挑戦しやすいでしょう。しかし、挑戦は若者だけの特権ではありません。年齢を重ねてからは、経験や知識を生かし、より計画的に挑むことができます。

そのために大切なのは、まず、家族や組織への責任を果たすことも挑戦の一つだと捉えることです。次に、勢いだけで動くのではなく、目標までの道筋を考えること。そして、守るべきものを明確にし、受け入れられるリスクの範囲を見極めることです。

さらに、「本当にやりたいことなのか」「今が適切なタイミングなのか」と自分に問いかけ、必要であれば家族や仲間に相談することも欠かせません。年齢を重ねてからの挑戦には、無謀さではなく、準備と対話が必要です。

挑戦を後押しする環境づくりも重要です。「失敗しても大丈夫」「まずはやってみよう」と言える場所がなければ、人は安心して自分を表現できません。指導者やリーダーには、我慢や規律を教えるだけでなく、失敗を学びに変えられる場をつくる役割があります。

人生を振り返ったときに残りやすいのは、失敗した後悔よりも、「やりたかったのに、やらなかった」という後悔なのかもしれません。

失敗を恐れなくなる必要はありません。大切なのは、恐れがあっても、自分にできる一歩を選ぶことです。挑戦とは、すべてを捨てて飛び出すことではなく、守るべきものを守りながら、自分の可能性を諦めないことなのです。

いつか人生を振り返ったとき、「失敗しなかった人生」ではなく、「やりたいことに挑戦してきた人生だった」と胸を張って言えること。そのための一歩は、年齢に関係なく、いつからでも踏み出すことができます。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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