4-8-1 自分を知る力が成長を決める

私たちは皆、心のどこかで「幸せに生きたい」と願っています。しかし日常の中では、「つまらない」「やりたくない」といった言葉が無意識に口をついて出ることも少なくありません。私はこれまでの指導や教育の現場で、「人は自分の言葉どおりの人生を生きる」と強く感じてきました。だからこそ、言葉の持つ力、そしてその根底にある“自分の認識”の重要性を伝え続けています。
幸せの第一歩は「自己認識力(Self-Awareness)」です。これは、自分の感情・思考・価値観・行動パターンを客観的に理解する力を指します。言い換えれば、自分自身を観察し、理解しようとする姿勢です。何に喜び、何に苛立つのか。どんな瞬間に満たされるのか。それを丁寧に見つめていくことで、自分の軸が少しずつ明確になります。
この考えをより深く理解する上で参考になるのが、INSIGHT(インサイト)です。本書では、自己認識には「内的自己認識」と「外的自己認識」の2つがあると述べられています。前者は自分の内面を理解する力、後者は他者からどう見られているかを理解する力です。この両方がバランスよく高まることで、人はより良い意思決定と人間関係を築くことができます。
では、どのようにして自己認識力を高めていくのか。私自身の経験から、3つの方法が有効だと感じています。
一つ目は「振り返る習慣」です。日々の行動や判断を振り返ることで、自分の傾向が見えてきます。スポーツにおいて試合映像を見返すように、日常でも自分の言動を客観的に捉える時間を持つことが重要です。1日の終わりに短く振り返るだけでも、自分の強みや課題は確実に積み上がっていきます。
二つ目は「他者の視点を取り入れる」ことです。自分では気づけない自分の姿は、必ず存在します。私自身も、選手や仲間からのフィードバックによって指導の質を高めてきました。時に耳の痛い意見こそ、自分を成長させる大きなヒントになります。信頼できる人に、自分の強みや改善点を尋ねることは、自己認識を深める近道です。
三つ目は「感情の変化に気づく」ことです。感情は、自分の価値観を映し出す鏡です。なぜその場面で怒りを感じたのか、なぜその瞬間に喜びを感じたのか。その理由を丁寧に言語化することで、自分が大切にしているものが見えてきます。この積み重ねが、自分らしい選択につながります。
私の授業では、学生たちに問いを投げかける時間を大切にしています。「どんな人を尊敬できないのか」「人生最後の1年なら何をするか」「自分が最も幸せを感じる瞬間は何か」。こうした問いは、正解を求めるものではなく、自分自身と向き合うための入り口です。そして気づけば、その問いは学生だけでなく、私自身にも向けられるものになっていました。
幸せは誰かに与えられるものではありません。自分を深く理解し、自分の価値観に沿って生きる中で感じ取るものです。他人の評価や比較から解放されるためにも、自分の内面に目を向けることが不可欠です。
「自分は何を大切にしているのか」
「どんな人生を歩みたいのか」
その問いに向き合い続けることが、成長であり、人生の質を高めることにつながります。誰かに答えを求める前に、まずは自分自身に問いかけてみる。その静かな時間こそが、本当の意味での“自分を知る”第一歩になるのではないでしょうか。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸
