5-12-1 特別な時間はいらない

幸せは、特別な出来事の中にあるのではなく、「今この瞬間」に宿るものです。私たちはつい、非日常や大きな成果の中に価値を見出そうとしますが、実際には日常の中にこそ、心を満たす小さな出来事が数多く存在しています。

例えば、子どもたちが夢中になって何かに取り組む姿や、できなかったことが少しずつできるようになる瞬間。そこには派手さはありませんが、人の成長が確かに存在しています。その過程に触れることは、見る側にとっても大きな意味を持ちます。こうした何気ない場面に目を向けることが、日常の豊かさに気づく第一歩となります。

また、若者や後輩が自分自身と向き合い、悩みながらも前に進もうとする姿に触れるとき、人は多くの学びを得ます。誰かが自分の言葉で考え、自分の意思で選択しようとする過程には、その人なりの成長の軌跡があります。その歩みに寄り添う時間は、決して特別に用意されたものではなく、日々の関わりの中で自然に生まれるものです。

ここに、メンタリングの本質があります。メンタリングとは、特別な指導の時間や形式に限られるものではありません。日常の中での対話、何気ない一言、相手を尊重する姿勢の積み重ねによって成り立つ「関係性の在り方」です。問いを投げかけること、相手の言葉に耳を傾けること、そして成長を信じて見守ること。その一つひとつが、相手の内側に変化を生み出していきます。

人は、誰かから一方的に変えられるのではなく、自らの意思で変わっていきます。だからこそ、メンターに求められるのは「教えること」以上に、「気づきを促すこと」です。そしてその気づきは、特別な場面ではなく、日常の何気ないやり取りの中から生まれることが多いのです。

さらに、日常の中には「尊敬」が生まれる瞬間も多く存在します。相手の立場に立った言動、丁寧な対応、感謝の一言。こうした小さな行動の積み重ねが、人と人との関係性を深め、信頼を築いていきます。尊敬とは言葉で伝えるものではなく、日々の在り方によって自然と表れるものです。

人生は限られた時間の中で進んでいきます。「いつか特別な時間が来たら」と考えているうちに、多くの大切な瞬間を見過ごしてしまうかもしれません。だからこそ重要なのは、「今」をどう捉えるかです。日常の中にある小さな変化や成長に気づき、それを大切にすることが、人生の質を高めていきます。

挑戦もまた、特別なものではありません。日々の中での小さな一歩、新しい視点で物事を見ること、これまでと少し違う行動を選択すること。その積み重ねが、自分自身の可能性を広げていきます。

特別な時間はいらないのです。日常そのものが、すでに価値ある時間です。そして、その日常の中でどのように人と関わり、どのように成長を支えていくか。その在り方こそが、メンタリングの本質であり、同時に自分自身の人生を豊かにしていく鍵でもあります。

今この瞬間に目を向けること。目の前の人との関係性を大切にすること。その積み重ねが、やがて大きな意味を持つ時間へとつながっていくのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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